ブラック企業に勤めていた頃のこと
初めて勤めた会社は今でいうブラックだった。
法人ではあるが個人事業に毛の生えた程度の事業規模であり、社長は会社を大きくするよりも小さな会社を複数作って仕事を融通しあうことで何らかの旨味を得ていたようだった。
社内にあったソフトの多くは違法コピーで、社内のサーバはそこら辺でエンジニアが買ってきたタワー型PC。これがしょっちゅう止まっては再起動していた。いつ止まるか分からないので、大きめのファイルを保管するときは声をかけあって人力でロードバランシングしていた。
大手企業からの仕事を受けていたからだろう、そんな会社に外資ITや銀行にいた人が社員として勤めていた。他の社員も国立大卒や慶応卒がいたりで人生を無駄遣いしている感があったのだが、それぞれに理由なり目的があったのだろう。目的よりは理由があったのだろう。当時は氷河期ど真ん中だった。自分もまたそこにいる理由があった。
あるとき給与の遅配があり、程なくして会社が解散するというのでお役御免になった。こちらも勝手にしろということで、残りの給与は振り込んでおけという連絡をして退職した。
今思えば最後の給与は振り込まれていたので、それなりに誠意はあったのかも知れない。ただ社会保険が支払われていなかったのは後日知った。